はじめに
耳鼻咽喉科の後期研修医(専修医)のための教育プログラムは、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の定めるカリキュラム内容を4年間にわたり学会認定の教育施設で行うものである。認定教育施設には、大学病院、その関連教育施設、一般病院、主としてがん専門病院等があり、従来は各施設単独に、あるいは連携してカリキュラムを実行するプログラムが作られ、これらの施設がうまく連携してカリキュラムが実行されたことにより、一定以上の資質を備えた専修医は国民が求める耳鼻咽喉科専門医となりえた。しかしながら、平成16年度から始まった初期臨床研修制度が浸透していくに従い、必修科目となっていない診療科の一つである耳鼻咽喉科に後期研修医の応募がないという事態が、年度が進むにつれ幾つかの大学病院で発生し、この非常事態は全国的に拡大してきており、耳鼻咽喉科の医療レベルの低下と地域医療への貢献が損なわれ始めている。静岡県内の耳鼻咽喉科医療は浜松医科大学および関東・中部・関西地方の伝統大学からの派遣人事の融合により、これまでは上手く機能してきたが、耳鼻咽喉科医師不足の影響は県内でも出始めているので、全国的な視点と地域的な視点とから、日耳鼻静岡県地方部会の耳鼻咽喉科・頭頚部外科専修医研修管理委員会が中心となって、新しい概念での耳鼻咽喉科・頭頚部外科専修医のための静岡県版の教育支援プログラムを作成した。諸君が日本のトップレベルの耳鼻咽喉科専門医を志向するなら、我々が諸君のために作成した研修プログラムにぜひ参加されることを願う。